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2007年2月6日
ギャグ・ハラスメント
まずはクイズです。 ある豪華客船が沈没しかかって、船長が乗客に海へ飛び込むよう指示をしました。アメリカ人には「飛び込めば、あなたは英雄」、ドイツ人には「飛び込むのが、この船の規則」、イタリア人には「飛び込むと、女にもてるぞ」と言いました。そして船長は、日本人に何と言ったでしょう……?
答えは「みんな飛び込んでますよ」なんですって。
――ご紹介したのは、今回読んだ『世界の日本人ジョーク集』からのエピソード。帯に『バカ売れ!37万部突破』と書いてあるぐらいだから、日本人がどう見られているかを知りたい人が多いんですねえ。
でも、さっきのクイズ正解率は絶対に高いはず。だって「いかにも」な答えでしょ? たとえば、このジョークが言われはじめた時代背景なんかを書いていてくれたら「なるほどー」なんですけど、それはない。しかも、冒頭の通りジョーク的には面白くないんですよ。
以前、アメリカに行ったときに、コーディネーターのアメリカ人がユダヤ人を指さして「あいつらはケチ」的なジョークを言い出したことがあったんですね。こんなステレオタイプな分け方は、笑いとしてあまりにも低レベル。そのとき、こういうジョークがまかり通っているアメリカって田舎なんだなと思いましたね。きっと、ニューヨーカーはこんなジョークは言わないもん。言われた日には摩天楼も霞んで平地になっちゃいますよ。
たしかに、「海外で日本人がどう思われているか」ということは、基礎知識として知らないより知っておいたほうがいいかもしれません。でも、だからといってこの本で得たジョーク知識というのは、絶対に披露しないほうがいい! というのも、この本に出てくるジョークを日本のおじさんに実際に言われたことがあるんですよ。
それは、飛行機で隣り合わせたアメリカ人が「あんたは何ニーズだい? チャイニーズか、ジャパニーズか、べトナミーズか?」と日本人に話しかけるっていうやつ。それに対して、日本人は「何キーだ?」と尋ね返すんですよ。「ヤンキー(アメリカ人)か、モンキー(猿)か、ドンキー(ロバ)か」って。
……この、気分がどんよりする話を物知り顔で語られても、リアクションの取りようがないですよ。「へー」としか相槌打てないし。
このリアクションの取りづらさは、オヤジギャグも同じ。たまに、ドラマの現場なんかでも大物の方が場を盛り上げるためにお話してくださることがあるんですよ、そのテのギャグを。先輩だし、大御所だし、笑うしかない……困りますよね……。
でも、いちばんキツいのは、身体ネタ。昔、頭のいい男性と付き合っていたことがあったんですけど、彼は太っている人をネタにして笑う人だったんですよ。それを目の当たりにしたとき「この人、どういう神経してるんだ」と思えて、気持ちもサーっとひきました。だって、それをジョークだと信じていること自体が浅はかだもん。
こう考えると、笑いって人間関係上かなり重要な問題なのかも。ツボの相違で醒めることもあれば、逆に高まることもある。とくに恋愛の現場においては慎重に笑いどころを見極めたいものですね。
それでは、きょうのまとめです。
まず、この本の著者の人って、かなりワイルドな場所に出向いている人らしく、『世界の紛争地ジョーク集』とか『ジョークでわかるイスラム社会』も出しているみたい。読書としては、今回紹介した本よりも意外性がありそうなので、これから手に取る人にはそっちをオススメしたいと思います。
あと、迷惑ギャグ問題ですけど、いつかパワハラ的な社会問題になって、裁判に持ち込まれるようになってほしいですね。
ただし心配は、裁判長もおじさんだということ。
わたし 「おやじギャグが苦痛なんです」
裁判長 「ユーモアで場を和ませようと気を遣っているのだから、原告はその配慮に対する感受性が足りないのではないか」
わたし 「……それ、ユーモアじゃないんですぅ」
それでなくても「えー!?」な判例が多いニッポン。裁判官にウィットさがあるとも思えないし、裁判を起こしてもこんな感じになっちゃいそうじゃありません?
ああ、オヤジギャグに制裁が下される未来あれ!
今回、取り上げた本
『世界の日本人ジョーク集』早坂隆/中央公論新社/798円
世界から憧憬の眼差しが注がれる経済大国? それとも、物真似上手のエコノミック・アニマル? ――地球各地で収集したジョークの数々を紹介しながら、異国から見た真の日本人像を描いた一冊。『世界の紛争地ジョーク集』『世界反米ジョーク集』に続くシリーズ第3弾。
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