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今年6月、のべ2万人以上を集めた野外音楽フェス「CUE MUSIC JAM-BOREE in ゆうばり」を主催。現在は「北海道BU-SOUND展 Come Back Salmon Tour」を敢行中の鈴井貴之さんは、企画プロデューサーとして、音楽活動にも勢力的に取り組まれています。
『ダ・ヴィンチ』1月号の新刊インタビューでは、12月3日に刊行された小説『雅楽戦隊ホワイトストーンズ』についてもお話いただいている鈴井さん。真冬に一歩足を踏み入れた札幌の冷たい雨の中、TV版『雅楽戦隊ホワイトストーンズ』のロケ地を巡る本誌撮影を終えたばかりの鈴井さんに、北海道の新しい音楽世代に賭ける想いを伺いました。

すずい・たかゆき●1962年、北海道生まれ。映画監督、構成作家、タレントと、多彩なジャンルで北海道を拠点にマルチに活躍。1992年、クリエイティブオフィスキューを設立。93年から2003年までの約10年間、AIR-G'(エフエム北海道)にて音楽バラエティラジオ番組『GO・I・S』ほかでパーソナリティを務めるなど音楽への造詣も深い。12月3日には、2作目の小説『雅楽戦隊ホワイトストーンズ』(幻冬舎)を刊行。
http://www.office-cue.com/


撮影/池田直俊 ヘアメイク/諸橋みゆき スタイリング/立石敦子 衣装協力/MANO garment complex 札幌ステラプレイス店(PHONE/FAX:011-222-9688 E-mail:s-place@manogc.jp

――鈴井さんは、今年6月に「CUE MUSIC JAM-BOREE in ゆうばり」を企画・主催され、イベントも成功を収められましたが、振り返ってみてのご感想は?

「クリエイティブオフィスキュー15周年事業を開催するという時に、ご存知のとおり、夕張という町が厳しい状況下にあって、このイベントでみんなが笑顔になれる楽しいひとときを共有できればと思って企画しました。みんなが笑顔になれば、そこからポジティブな気持ちが生まれてきて、次に何かが繋がっていくんじゃないかと。 本当に、その意向通りに、来てくださったお客さんはもちろん、参加アーティストも、みんな笑顔で過ごせたイベントになったと思います。あのとき夕張に来てくれた方が、何か自信を持てるようになり、抱えている問題のちょっとした突破口を見い出していただけたとすれば、うれしいですよね」


――そこには、GLAYやPUFFY、BEGINなどの大物アーティストの方々に加えて、北海道の若いバンドのみなさんも参加されていました。

「地元・北海道の若いアーティストが1日3組、計6組出演しました。みんな、登場するときは緊張してたんですよ。でも、ステージを終えて帰ってきたら、みんなが凄く喜んでいて、バックヤードで、笑顔でバンド同士が交流していた姿が印象的でした。 そして何より、イベントの朝一番からたくさんの方が来場して、出番の早かった彼らの音楽を聴いてくださった。彼らに対するお客さんからの評判も高かったんです。若い人たちにそういう場を作れたことも、よかったですね」


――それが、現在全国ツアー中の『北海道BU-SOUND展 Come Back Salmon Tour』を始めるきっかけにも?

「そうですね。夕張のイベントをきっかけに出会った、あえて東京に出ずに北海道で頑張ろうとしているアーティストたちが、全国を一緒に回って、成長して帰ってきましょうと企画したものです。ですから、道外のみなさんにとってこのツアーは、“北海道にはこんな音楽がありますよ”というのを観ていただく『北海道BU-SOUND展』(=北海道物産展)であり、参加するアーティストにとっては、鮭が回遊して成長していく姿に例えた『Come Back Salmon Tour』。ふたつの意味があるんです。  それに、北海道で音楽をやっている人たちには、お互いがもっと切磋琢磨し合う環境が必要かなと。だから、こういう企画を通じて、お互いに刺激できる環境を作ってもらいたいという気持ちが大きいですね。単純な親心として(笑)」


――鈴井さんがその考えに至ったのは、やはり音楽への深い愛情ゆえですね。

「それもありますが、音楽への尊敬ですよね。僕が作っている映画などでは、2時間かかるところを、音楽はわずか数分で、人の琴線に触れることができるじゃないですか。そういう意味では、嫉妬もしています(笑)。だからこそ、音楽アーティストは凄いとリスペクトしているし、特に若く才能ある人たちには、大人として道を敷いてあげられないかと思っているんです」


――イベントの企画だけではなく、鈴井さんは昨年から、音楽レーベル「A-CUE RECORDS」も立ち上げられていますね。

「C級、B級ではなく“A級”のグレードを保ちながら、“永久”――ずっと永く続いていく音楽を作っていきましょうというのが、ネーミングの由来です。駄洒落っぽいですよね(笑)。『北海道BU-SOUND展』という駄洒落のネーミングも……全部、僕です(笑)」


――レーベルのコンセプトはどういったものですか?

「所属するアーティストたちが、自分たちが納得できる音楽をゆっくりとやり続けてくれればと思っています。このレーベルは、ちゃんと自分たちのスタンスをわきまえながら、どうやって多くの方に喜んでいただけるものを作っていくかが目標です。それは音楽に限らず、他の表現活動に対する僕の考え方でもありますね」


――現在、バンドでは月光グリーン、Jake stone garageが所属していますが、鈴井さんからご覧になった、彼らのいちばんの魅力はなんですか?

「月光グリーンは、非常に文学的な匂いがあり……ちょっと、時代から外れてるところがいいですよね。平成じゃないんです。彼らは昭和なんですよ。その昭和感が、彼ら独自の世界としてある。それは、コンポーザーであるテツヤのカラーですが、そこが強く出ていていいですね。  Jakeに関しては、スタイリッシュな曲調がいちばんの魅力です。さらに洗練されれば、バンドはもっと強くなるでしょうね。そして何より、このふたつのバンドは、馬鹿がつくほど真面目。そこも魅力です。考え方も柔軟ですし、凄く可能性があると思いますよ」


――そして12月19日には、レーベル第3弾アーティスト、LIVEデュオのケンタカユッキー☆フライド事件のマキシシングル『おやG』も再発されますね。

「『おやG』は、お父さん、おっさんの悲哀を歌った……新橋あたりでかけると涙する人が多いんじゃないかという曲です。これは、北海道で6年前に一度CDを発売して、4000枚を即完売しました。実は、彼らは謎のアーティストなんですよ(笑)。6年前のリリース当時は、何度か人前で歌ったりしていたのですが、ある時からぷっつり消息を絶ちまして……」


――メンバーのおひとりは、鈴井さんによく似てらっしゃいますが(笑)。

「あくまでも、僕は彼らの友人ですよ(笑)。CDが発売されても、彼らはおそらく二度と人前でライブはしません……と、伝え聞いています(笑)」


――今年は「CUE MUSIC JAM-BOREE in ゆうばり」が全国的な話題となりました。そして「A-CUE RECORDS」や「北海道BU-SOUND展」といったクリエイティブオフィスキューの音楽系プロデュース活動を通じて、さらに北海道の音楽シーンへの注目度も高まりそうですね。

「北海道は近年、地元にいながら頑張っていこうというバンドがたくさん出てきました。それをサポートしようとする媒体やレーベルも盛んになっています。それらがリンクして手を繋いでいけば、ますますいいムードになっていくんじゃないでしょうかね。そこで僕らの動きがきっかけとなり、道内の音楽ネットワークがより密になって、さらにいろんな企画ができるようになるといいですよね」


――これからも、北海道から発信される音楽の企画を楽しみにします。本日は、ありがとうございました。


◎「北海道BU-SOUND展 Come Back Salmon Tour」のイベント情報、「A-CUE RECORDS」のリリース情報は、このページの最後をご覧ください。

2006年、「A-CUE RECORDS」第1弾アーティストとしてリリースしたマキシシングル『快刀乱麻を断つ』、ファーストアルバム『蛮勇根性』が北海道で異例の売上げを記録し、月光グリーンは道内のみならず、全国的な人気を獲得しつつあります。
今年9月にはセカンドアルバム『雪月花』を発表し、現在、全国ツアー中の「北海道BU-SOUND展 Come Back Salmon Tour」の中心的バンドとして注目を集めるメンバー3人――ギター&ボーカル担当のテツヤさん、ドラム担当のチュウさん、ベース担当のハナさんに、月光グリーンの音楽性と今後の活動への意気込みを伺いました。
げっこう・ぐりーん●激情ボーカルギター担当のテツヤ(写真中央)、撲殺ドラム担当のチュウ(写真左)、右手残像ベース担当のハナ(写真右)。北海道出身。「A-CUE RECORDS」所属。個性的なサウンドとライブパフォーマンスが人気を集め、観客動員もさらに上昇中の3ピースバンド。現在までにマキシシングル『快刀乱麻を断つ』、アルバム『蛮勇根性』『雪月花』を発表。
http://www.g-green.jp/
――みなさんは、ご自分たちの音楽を“汗ダク感情ロック”と呼んでいらっしゃいますが、熱気あふれる雰囲気が伝わってくる言葉ですね。

テツヤ「まさに、字面通りのバンドなんです(笑)。もともとは、ライブ中にかく汗の量が、とてつもないことが発端なんですよ。ステージ上で、いつもは発散できないものを発散し尽くして、それが汗という形になって出てきている。まさしく汗=感情なのではと思い、“汗ダク感情ロック”という言葉が生まれたんです。ステージ上での感情の爆発は凄いぞ、という意味で」


――月光グリーンの音楽を最初に聴いて思い浮かんだ言葉は、“ほとばしる”でした。激しい衝動を、抑えきれない人たちなのではないかと。

テツヤ 「激しいんですけれども……せつないんですよね。僕は、北海道を色に例えると、せつなさが必ず混じっていると思うんです。やはり、北の地方にはどこかせつなさが感じられ、南の地方は開放感がある。僕らは、そのせつない色が、凄くはっきり出ているバンドだと思っています」


――詞と曲は、テツヤさんがお書きになっていますが、他のおふたりから見て、テツヤさんの曲の魅力は、どこにあると思いますか?

チュウ 「曲もそうですが、歌詞に、人ひとりからにじみ出てきた生々しさがありますね。その歌詞が何を表現しているのかを、僕らはテツヤに深く問いはしないんですが、描かれた情景が凄くよく見えてきますよね」

ハナ 「なので、新しい曲のアンサンブルを作る時も、歌詞の感情を表現するために、重要な一音をまず考えますね」


――それだけ、感情の発露である“歌詞”を大切にしてるんですね。

テツヤ 「はい。だから、演奏もテクニックより、感情を表現する力加減を大事に。メンバーには、“心のブーストを踏んでくれ”と、よく言います。そして、演奏でどこまでふたりが、曲の世界を拡げてくれるのかが、僕の楽しみでもありますね」

チュウ 「テツヤが僕らに最初に渡すデモテープは、もう完成に近い状態なんですよ。彼が考えたベースやドラムのフレーズがすでに入ってるんです。それを僕やハナがどう崩していくかが、バンドのアンサンブル作りの面白さですよね」

ハナ 「僕が弾きたいフレーズがあったとしても、思いついたフレーズをそのまま入れると、曲が訴えたい感情表現がおかしくなるんじゃないかとか……アンサンブルは、そういうやりとりを3人でやりながら仕上げるんです。そこにやりがいを感じてますね」


――月光グリーンといえば、迫力あるライブの魅力も外せませんが、9月にリリースされたセカンドアルバム『雪月花』にも、ライブ感が現われていますね。

チュウ 「今回のアルバムは、去年の『蛮勇根性』よりも勢いが出たものになりましたね。『蛮勇根性』の頃はキッチリ演奏しようとしていたので、出来上がった曲はまとまりがありましたけど、勢いは失われていたかも知れないですね」


テツヤ 「そうなんです。去年までは、正しい演奏の仕方があるんだと自分の中で決めつけていたんですよね。そこから1年、ライブを重ねてきて、もっと思うままに演奏してから、自分たちの音楽の善し悪しを判断しようと思うようになりました。その気持ちが、『雪月花』でのアンサンブルの迫力に、繋がったんじゃないかと思いますね」


――また、前作にも増して、歌詞の面白さが耳に残りました。コミカルな言葉遊びが、シリアスな感情表現へとすんなりと繋がっていきますね。

テツヤ 「歌詞を書くときは、とにかく考えますね。“よし書くぞ”と思って、集中して……言葉が降りてくるまで待つんです。僕にとって、メロディは歌詞を受け入れるための場景。そこで聴き手に突き刺さる言葉は何かと、言葉を突き詰めていきます」


――日本的なメロディも特徴ですよね。

テツヤ 「僕の今までの人生は、それほどロックに浸ってきていませんでした。音楽が演りたくてというより、自己表現の場を求めて弾き語りを始めた人間なので、いい意味で、ロック的な道を通っていないんです。メロディが日本的なのは、そのせいかも知れませんね」


――そして現在、みなさんが参加しているツアー、鈴井貴之さん企画プロデュースの「北海道BU-SOUND展 Come Back Salmon Tour」も佳境を迎えていますね。意気込みも大きかったのではありませんか?

テツヤ 「そうですね。始まる前からとても楽しみにしていました。ここに参加しているバンドは、それぞれが全国ツアーを経験している人たちばかりです。でも、いつもは北海道から来た1バンドが、他の地方のバンドに交じってイベントで演奏する状況が多いと思うんです。でも今回のツアーは、みんな北海道のバンド。まさに“北海道が行く”ことになりますから、僕らの風を吹かせたいですよね。参加しているバンドは、トレンドに左右されていないので、音楽性もバラエティに富んでます。いい意味で、バラバラな音楽の集団ですが、心に熱いものを持っているところは同じなんですよ。このツアーで、みなさんにその熱さを感じてほしいですね」


――みなさんの、今後の抱負を聞かせていただけますか?

テツヤ 「僕は、誰かに自分という存在を知ってもらいたくて音楽をやっています。だから、少しでも多くの人に出逢いたい。月光グリーンの音楽で、聴いてくれるみなさんと、たくさんの繋がりを持ちたいですね」

ハナ 「そして、僕ら自身も北海道の誇りと言われるように、頑張っていきたいです」

チュウ 「僕らの頑張りで、“北海道”というキーワードを、全国にもっと拡げられたらいいですよね。これからも月光グリーンは、北海道を離れる気持ちはないですから」


――その意味でも、「北海道BU-SOUND展」が、月光グリーンと北海道の音楽を、全国に広めるきっかけになりますね。

チュウ 「そうですよね。これだけ長いツアーは初めてなので、僕らも体力が続くように気をつけながら、3人でコンビネーションよく、最後まで頑張っていきたいですね」



『雪月花』 月光グリーン
CUE-2003 発売中 2310円

文学的な香り漂う歌詞と、テクニカルなアンサンブルで観客を圧倒する轟音3ピースバンドのセカンドアルバム。激情的な音と言葉遊びを巧みに盛り込んだ詞世界が絡み合う全9曲を収録。せつなさの残る独特な世界を提示する。地元CMにも彼らの曲が起用され、北海道では抜群の知名度と人気を誇っている。

◎「月光グリーン」の最新情報はこちら

『FIRING DEVICE』 Jake stone garage
CUE-2002 発売中 1500円

骨太なサウンドを叩き出す3ピースバンド、Jake stone garageのニューアルバム。“着火装置”を意味するタイトルに相応しく、ソリッドなギターのリフレインとインパクトのあるボーカルが、聴き手の熱情をえぐり出す。疾走感あふれる曲から、切実な想いをのせたバラードまでバラエティに富んだ5曲を収録。

◎「Jake stone garage」の最新情報はこちら
『おやG』 ケンタカユッキー☆フライド事件
CUE-9002 12月19日発売 1100円

ビューティーたか(鈴井貴之?)、アフターけん(安田顕?)からなるLIVEデュオ、ケンタカユッキー☆フライド事件が、2001年10月にリリースした幻のマキシシングルを両A面ジャケットで再販。オリジナル盤の発売時は、北海道で4000枚を即完売。オヤジの哀愁と憤りを綴る詞は、ビューティーたかが手がけている。ちなみに彼らは、現在行方不明との噂だが……!?  ※ジャケット写真の表は、ビューティたかVer.(写真上)。裏は、アフターけんVer. (写真下)です。

◎「ケンタカユッキー☆フライド事件」の最新情報はこちら または、 http://cue.digiadv.net/ (モバイル専用URL)まで。
鈴井貴之Presents 『北海道BU-SOUND展 Come Back Salmon Tour』

鈴井貴之の呼びかけのもと、北海道在住の5バンドが集結し、11月25日の福岡を皮切りに、約1カ月間をかけて全国8都市をバスでめぐる全国ツアー。月光グリーン、Jake stone garage、OILMAN、SERVICE ACE、raison d'etreら、地元の人気バンドが参戦している。この機会をお見逃しなく。

12月10日(月) 仙台HOOK
Open 18:00/Start 18:30
出演:月光グリーン、Jake stone garage、OILMAN、SERVICE ACE 、ゲスト:(スリーアイ)
問い合わせ:ジー・アイ・ピー 022-222-9999

12月23日(日・祝) 札幌ペニーレーン24
Open 16:30/Start 17:00
出演:月光グリーン、Jake stone garage、OILMAN、SERVICE ACE、raison d'etre
問い合わせ:WESS 011-614-9999

◎各会場ともチケット料金は2000円(ドリンク代別途)
詳細は、http://www.htb.co.jp/yumechika/bu-sound/index.htmlまで。

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