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| 2006年4月3日 |
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「ボクが取材したスゴイ奴」 - 連載(17)- 大物シリーズ17 反省も復活もしてほしい男編の巻 本田美奈子が名前にドットを付けるなり亡くなったときにも思ったが、改名したって必ずしも運命が好転するわけじゃない。それは、もちろん名前にビックリマークを付けるなり糖尿病が悪化して死にかけたターザン山本の場合も同様である(面倒だからビックリマークは省略)。 十数年前、『週刊プロレス』の編集長としてカリスマ的な存在になりながらも、新日本プロレスに取材拒否されたことがきっかけで会社を追われ、妻子にも飼い猫にも逃げられ(しかも貯金通帳持参で)、全てを失ったターザン。こうして自暴自棄になってからの行動は、とにかく異常な面白さだった。 25歳下の女子に煩悩の数だけラブレター(解読不能)を送り付けて口説き落としたり、突然ブリーチして金髪になったり(しかもテリー伊藤さんの番組で育毛剤の企画に出演している期間中、無断で!)、浅草キッドのお笑いライブで尻の穴まで晒したり、そんなライブのアンケートに「ターザンさんのファンです」という女子のメッセージと共に書かれていた携帯の番号を一瞬で暗記し(普段は人の電話番号とか一切覚えないのに!)、すぐに電話して風俗嬢と付き合い始めたりで、とても50歳を超えた大人だとは思えない行動ばかりを繰り返していたわけなのだ。 その当時、ボクがやったターザンのインタビューが、これである。 http://www.asakusakid.com/past-column/tarzan.html 「俺は6年ぐらい前、ある安いソープランドに行ったんだよね。そしたら女の人がしごいて、溜めすぎた為にポーンとさ3m位飛んだんだよ! こんな人見たこと無いってさあ。向こうまで飛んでビックリしたよ! ある時なんか彼女達が飲み込むのあるじゃない、やってる時に怒られたよ。『溜めてこないで下さい!』って。『量が多すぎるから、適当に出してきて下さい』とか言われて(笑)」 こんな訳のわからない自慢をしたかと思ったら、細かく追求していくと飛距離がだんだん減っていくのも最高だよ! とにかく異常に下品かつパワフルで、嫌なんだけどなんだか気になる。当時のターザンとはそんな存在であり、だからこそ浅草キッドもライフワークの『お笑い男の星座』パート1で、版元に嫌がられながらもターザンについて大幅にページを割いたわけなのだろう。 しかし現在。糖尿病が悪化してからというもの、ターザンからは下品さもパワフルさもすっかり失われてしまった。 日記で「今日は熟女ビデオで抜いた」とか余計な告白をすることも、物事を言い切るパワーや話を振られたときの瞬間的な対応力も、もっと言えば持続力も爆発力もなくなった。 そのため一緒に“ターザン山本と吉田豪の格闘2人祭”というイベントをやっていても、不協和音が出てくるようになってきたのだ。文章講座をスタートさせた頃からターザンはイベント後に生徒たちと打ち上げに行くようになり、その分の体力を温存させるようになったためである。 05年10月に金村キンタロー選手をゲストに招いたときは、「俺は金ちゃんとはツーカーだから任せてよ!」と豪語していたのにターザンは壇上で黙り込み、「山本さん、今日はパワーが全然ないじゃないですか」 と金村選手に突っ込まれたら、「別の所で使おうと思って」と言い出す始末。いま使えよ、それ! 「山本さん、何か質問して下さいよ!」 とボクが振っても、「いや、今度会ってゆっくり話そうと思って……」とか言うし。なんだそりゃ。 さすがに見かねて反省するように注意したら、翌日、ターザンは日記にこう書いていた。 「豪ちゃんはボクが仕事をしなかったというので、控室では大変に批判してきたが、あれは仕方ない。あれはあれでいいのだ!それをいうとさらに豪ちゃんはボクを責めた。ようし、それなら次回の12月20日の今年最後の“格闘2人祭”はゲストなしでやる。決めた、決めたぞ!今日のぶんまで大爆発してやろうじゃないか? そうだ、そうするしかない。それで客がこなかったらあとは野となれ山となれだ!どう、豪ちゃん。このアイデア? いいだろう!だから次はゲストなし。ターザン山本!の独演会にする。まかせとけである」 そんなろくでもないアイデアを聞かされたら、絶対にまかせておけないよ! 結局、12月のイベントはボクがちゃんとゲストも呼んだことで無事成功に終わったんだが、「ゲストを呼ぶなんて俺は聞いてない!」とヘソを曲げたターザンは、この日の冒頭に 「今回でイベントは終わりにするつもり」「俺はもう出ないでいい」と力強く宣言! しかし、最後はすっかりゴキゲンになり「今日はゲストがしょっぱいから、また失敗したら今回で終わりにしようと思って、その予防線を張って一歩引いてたんですよ! でも、やっぱり続けますよぉぉぉぉぉ!」と悪びれもせず控室で豪語していたのだ。 そして06年2月、事件は起こった。 前田日明を“格闘2人祭”のゲストに呼ぶべくボクがパーティー会場で直接交渉したりメールを出したりしていたとき、なぜかターザンがボクではなく会場のロフトプラスワンに電話して「次回から入場料を上げろ! そうしないと俺は出ない!」と勝手に交渉していたことが発覚! イベントが始まるなりそのことをバラされ、お客さんにもブーイングされたことで、ターザンはあからさまにやる気をなくしてしまったのである。 ボクがいつものようにネタを仕込んでおいたビデオや本を見せてもリアクションが異常に薄く、梶原一騎の実弟・真樹日佐夫先生原作の映画『WARU』のビデオを流したときはこんな感じだった。 いじめっ子対策の落とし穴を掘る子役に、真樹先生が「ほら、お前が欲しがっていた人形だ」と渡したプレゼントが、なぜか素顔の初代タイガーマスク・佐山聡人形! そんな2人に拳銃を向けるのが、なぜか“サイレンサーの鉄”という殺し屋役のボク! ……とまあ、そんなシュールなシーンを上映したので会場が爆笑していたら、ターザンは「この子供が落とし穴を掘るって考えた三池監督がすごいね!」と言い出して失笑されたりと、こんな感じで全ての話題を断ち切ってたわけなのだ。 もちろんターザンはゲストの元『週刊ゴング』編集長・GK金澤が登場した後も的はずれな質問ばかり繰り返し、それをGKが2回ほどスルーした瞬間、ターザンは「今日はボクがいても意味がないよ! これで“格闘2人祭”は終わりだ! もう俺は二度と出ない! 帰る!」と言い残して本当に帰っちゃった、と。これがターザン敵前逃亡事件の真実である。 ところが、ターザンは日記でこう書いていた。 「豪ちゃんが求めている世界と、ボクがいるポジションに開きがある。距離がある。そうしたら案の定、豪ちゃんはボクの最近の日記が面白くないと言った。 その言葉にはボクははっきり言ってカチンときた。別にボクは豪ちゃんが面白いと思うことに付き合うつもりはまったくない。 ボクは前よりちょっと遠くに行っているのだ。その距離感が出てしまった。 豪ちゃんが面白いと思っていることは、もうボクの中ではある部分、卒業しているのだ」 それならしょうがないが、文章講座の生徒と居酒屋で飲んだだけで勝利宣言したり、毎回競馬で負けては同じような言い訳をしたりするだけの日記を面白がるようなことは、さすがにボクにも出来やしない。 去年、「競馬をやっているうちは、ボクのブレイクはない」との理由でターザンが競馬を辞めると宣言したのは何だったのか? 「時間がないから小説が書けないって言うなら、まずは競馬を止めるべき」と注意したボクに、「わかった。豪ちゃん、ボクは今年の誕生日に小説を発表するよ!」と言ったのは何だったのか? 仕込みもせず適当に流している原稿やインタビューを読んでもプロレス〜格闘技から興味を失いつつあるのは伝わってくるが、だったら新たな道に進むためにやるべきことも多々あるはずなのに、なんで「やることがないから競馬に行った」とか平気で日記に書けるんだよ! ボクの師匠でもあるリリー(・フランキー)さんの『東京タワー』を勉強のため発売直後に渡しても、「絶対に読むよ!」と言いながらまだ読んでもいないし。あまりにもわかりやすいアリとキリギリス状態というべきか。 学生結婚するなり相手の家(親元!)に転がり込み、ふすま一枚隔てて両親がいるのに毎日セックスをしまくっていた頃から、ターザンは 「俺は小説家になる!」と宣言していた。そのくせ無職でダラダラしていたため離婚へと至るわけなんだが、ターザンはいつまで「小説家になる!」「直木賞を取る!」という空手形を出し続けるのか? ボクでさえ『en-taxi』で小説『YAWARAその愛』を発表したぐらいなんだから、とっとと書かなきゃしょうがないのに。やればできるよ、できるよやれば。やるしかないんだから、やらなきゃだめなのよ。なのである。 敵前逃亡した日も文章講座の生徒たちと近くの喫茶店に待機し、そのまま打ち上げに行ったそうなんだが、自分をVIP待遇してくれる優しい取り巻きに囲まれた状態に慣れすぎたからこそ、自分を立ててくれない空間に耐えられなくなった。それが今回の騒動の全てなんじゃないかとボクは思う。「少なくともボクのことは一応、たててもらわないとだめだろう」とか言ってないで、自分に興味のない観客すらも力ずくで自分の方に向けさせるのが、本来のターザンなんじゃなかったのか? 「いわゆるちゃぶ台を思い切りひっくり返してしまったのだ。男という生きものに、ちゃぶ台のひっくり返しはよくあることだ」とターザンは言っていたが、昔はイベントでちゃぶ台をひっくり返すようなときだって派手に暴れたりしていたのに! ただスネて帰ってたら、パワー不足でちっとも面白くないよ! ところが、だ。日記で「もうこの“格闘2人祭”は終わったな。今回でボクは降りる。終わりにすると、心に決めた」「“格闘2人祭”に関してはジ・エンドである。終わりは終わりである。物事には必ず起承転結がある。始まりがあれば、終わりはくるもの。ちょっと早い形でそれがきたものと思えばいいのだ。 ボクは逆にいい形で終わったなと思っている」と書いたその日、つまり敵前逃亡した翌日にロフトプラスワンのスタッフと新宿の路上でバッタリ会ったターザンは力強くこう言い放ったとのこと。 「ここでボクたちがバッタリ会うっていうのも、きっと運命だよ! 『格闘2人祭』は、これからも続けるとしよう! それがいい! 昨日、ボクが途中で帰っちゃったのは全部GKが悪いんだよね……」 さらにスカパー!の携帯サイトを見たら、そんなGKとの対談でターザンはこう言っていたのだ。 「いやぁ、あのイベントでは最初に(吉田)豪ちゃんと俺はツカミのトークやるでしょ? あのときの豪ちゃんのトスの上げかたが悪かったんだよぉ、ノリが悪いというかね」 「まぁ、豪ちゃんも忙しくてさぁ、あの日はキチッとした仕込みをしてきてなかったんじゃないのぉ!?」 「あんまりネタを用意してこなかったんだよなぁ、あの日は」 「……一言で言ったら豪ちゃんが忙しいんだよぉ」 ……謝罪の電話すらもかけてこないし、どうやら和解する気は皆無のようである。 それから一ヶ月以上経った先日、ようやくターザンから電話があった。 おそらくロフトプラスワンのスタッフから「豪君は山本さんから連絡がないから、一人でイベントやるって言ってるみたいですよ!」と脅されたせいだとは思うが、ボクに「山本さん、連絡が遅いじゃないですか!」と言われたターザンは、悪びれもせずに「豪ちゃん、俺は全部忘れたよぉぉぉぉぉぉっ! イベントには必ず行きま〜す!」 と断言! 少しは反省したのかと思ったら、日記にはこう書かれていたのである。 「吉田豪ちゃんに電話する。前回の“格闘2人祭”のことは忘れたよと言ったら、『忘れないで下さいよ』と怒られた。知らないよ。ドタキャンはドタキャンなんだし」 思いっ切り開き直っていやがるよ、このオヤジ! 続いて、一時は1日3通とか届いていたターザンからの絵葉書も何年かぶりに到着。そこには、こう書かれていた。 「豪ちゃん、どんな恋人同士や主婦でも、時間が経ってくると馴れてマンネリになるでしょう。あれと同じなんです。だからボクがドタキャンしたのはその危機感、非常ベルがああいう行動になったのです。だから別に悪いことではないんですよね。愛の概念が引き起こした出来事ですから……。ではまた!」 ターザン山本、本日モ反省ノ色ナシ! ![]() ターザンの文字は判読不能。これを読むのは非常に困難なので、一時はターザンの本を出すときは『紙プロ』編集部が原稿を打ち込むシステムになっていた。……そんなに暇なんだったらパソコンぐらい勉強すればいいのに! ![]() まだ元気だった頃、ターザンは浅草キッドの2人を新宿伊勢丹前で襲撃! 大仁田厚とも場外乱闘をしたりと、あの頃は異常にパワフルだったんだが……。 ![]() 「本日モ反省ノ色ナシ」といえばダン池田。派手に暴れ回った上で反省しないような人はボクも大好きだが、自分のパワー不足ぶりや勉強不足ぶりを反省しないようになっては駄目なんじゃないか、と。 ![]() ボクがスーパーバイズした『プロレス・格闘技 超“異人”伝』(洋泉社)と、ボクのインタビュー集『吉田豪のセメント!! スーパースター列伝 パート 1』(エンターブレイン)が絶賛発売中。どちらも、いい意味で狂ってたりパワフルだったりするプロレス〜格闘技界の人たちが登場する本なので、いまのターザンは出番なし……。 ![]() ![]() ロフトプラスワン控室での、仲むつまじいツーショット。このタッグが復活する日は来るのだろうか……って、この原稿がアップされる4月3日が『?と吉田 豪の格闘2人祭』の開催日なんですけどね。 |