2006年3月3日

ビヨンド・ザ・ロック 15

第十五回 「オーケンの勝手に出されたCDまでセルフライナーノーツ(人がいいので)。『GOLDEN☆BEST 筋肉少女帯ベスト〜ユニバーサルミュージック・セレクション』」

 その昔、UFOキャッチャーに「大槻ケンヂ布人形」が入っていて驚いたことがあった。そのようなグッズを個人的に許可した覚えは無い。なんと事務所も把握していなかった。たどっていったところどうやら、一時期事務所に出入りしていた人物が、勝手に作って卸していたらしいとの仰天事実が判明。問い詰めればムニャムニャと何やら言い訳を始めた彼、数日後には連絡すら途絶えてしまったそうな。たまに現場への送り迎えを事務所の者に変って代行してくれたりもする好人物だっただけに何とも言えぬ気持ちになったものだ。よく車内で二人の共通フェイバリット・バンドのCDを聞いて談笑していた仲だったのに。人生いろいろよな、と書いていて今さらしみじみした気分になったりなんかして。
 そんなパチモンと較べてはいけないのだろうが、
大槻ケンヂの全く知らないところで、筋肉少女帯のCDが今月発売になったのだそうだ。
 ネットで集めたバックバンド「ヤングス」のメンバーに筋少オタクがいて、「え? 知らないんですか?」と
教へてくれた
 「全然知らない!」
 「そんなことってあるんスか?」
 これが
いっくらでもあるから弱ってしまうのだ。
 楽曲をCDなど製品化して売る権利は
原盤権所有者にある。原盤とは音源のマスターで、大概はそれを作る時に出資した人が権利を主張することとなる。だから多くはレコード会社が持っている。事務所の場合も少なくはない。両者が制作費を分割した時は、原盤権も折半ということになる。タイアップや何らかの利益を得るために、原盤権を他会社に譲渡する場合もある。僕の詞には実在の人物が登場するものがいくつかあり、使用許可を得るメリットを優先するために、登場人物の所属事務所に原盤権をあげて、いわゆる”バーター”にしてもらった、なんてこともあった。
 稀にミュージシャン本人が所有していることもある。全て自費で作るインディーズバンドのいくつかはそうだろう。逆に
金にまかせて原盤権を買い取ってしまう輩もいる。原盤権は財産となるからどこもあまり売りたがらないというのに、マイケル・ジャクソンなどは自分のどころかビートルズの何曲かも法外な値で得てしまったと聞く。40歳の誕生日に「蓄光ミニラ」を自分プレゼントに買ってホクホクしとるような僕が原盤権を所有する日など永遠に来ないであろう。

 
これが蓄光ミニラだ!ぼ〜っと光るぞ!こういう買い物で満足するダンナを持ったら嫁さんは楽だと思う……

原盤権の困ったところは、それを使ってどんな作品を作ったとしても、ミュージシャンに
知らせる義務は一切無いという点だ。
 「ん?え!? このCD何!?
オレ知らねぇ
 だからCD屋で、
自分の知らぬ「ニューアルバム」発売を知ってぶったまげるミュージシャンが後を絶たない。さらに大体その手のCDは送ってもよこさないことが多いんである。今時ミュージシャンの消息などネットかなんかで五割方はわかるじゃないか。一本事務所に電話で教へてくれりゃあ俺なんかいろんなとこで宣伝してやるのになぁ。
 何より、自分のCDを自分で買いに行くのって、
フェチものAV買いに行く次に恥ずかしいもんなんだよ!
 
 セルフライナーノーツをここに記して宣伝しておいてやるから、担当者は今すぐ一枚オーケンとこに送ってくるように!(あ、友達の分ともう二枚おねだり ♥)
 というわけで
勝手に出された自分CD人のいいオーケンが自己解説。
 「
GOLDENBEST 筋肉少女帯ベスト〜ユニバーサルミュージック・セレクション
 ……まずタイトルのセンスが
いただけません
 曲順も
お役所みたいな仕事。ユニバーサル・ビクター、マーキュリーレコード時代の楽曲を、アルバムの順にダダッと並べただけなのだろう。曲順に紹介するが、僕だったらこう並べ直すね
 8、13、2、1、4、14、15、5、10、7、3、6、9、11、12。
 各自購入後に再編集のこと。ボーナストラックに「
北極星の二人」を追加するのも忘れずに。
 1「
蜘蛛の糸
 おちこぼれが「大丈夫大丈夫」と自分を励ますイタいナンバー。しかし自分を保ち切れず、好きな少女を
殺しに行く内容の続編(オケはほぼ同じ、歌詞だけ異なる)がある。いうなれば地獄の「ロード」あるいは悪夢的「大阪で生まれた女」。だからこんな暗い曲冒頭に持ってきちゃいけませんって。
 2「
香菜 頭をよくしてあげよう
 小岩か新小岩のスナックで働く、ちょこっとおバカなムードの女の子に僕が
入れあげていた時に彼女をモチーフにして作った曲。アレンジの元ネタはXTCのなんとかいう曲で、そ〜と〜似ているらしい。
 3「
リルカの葬列
 元は「ルーシーで飛ぼうよ」と題した
ドラッグソングになるはずだった。なのでサビでその詞で唄うとバッチリはまりますよ。
 4「
ノゾミのなくならない世界
 何を思ったかこの曲は
ポルカ。それをバリバリのギターサウンドでヘビメタにアレンジしたという。筋少後期のネタ不足が生み出したトンデモ・ナンバー。で、歌詞がおっかけ娘の哀切なのだから、意味がわからない。でもポリシックスのハヤシ氏は少年時代必死になって完コピしたのだそう。う〜んポルカ……。
 5「
トゥルー・ロマンス
 今は無き二子玉川のナムコワンダーエッグでハロウィン用に
ロックミュージカル化されたゾンビの恋物語。「この歌サビでゾンビを連呼さえしなきゃタイアップ取れたのに」と作った時ディレクターがなげいたものだ。でも、逆にゾンビのおかげでナムコに使われた。
 6「
僕の歌を総て君にやる
 山田五郎さんも出演していたテレビ番組で主題歌となった。ゲストで出たところ、
出演者同士がすご〜く仲悪そう(に見えた)でビビった……って、こんなこと曲とさっぱり関係ないじゃん。PVで僕がエヴァンゲリオンのネルフ・コスプレをしているのが時代。
 7「
サーチライト
 10分におよぶファンクサウンド。元々僕はファンクをやりたかったのだけれど、少年の頃、
ファンクって言葉を知らなくて、んで、間違えてパンクを始めちゃったんです。積年の想いをこめたら10分の長さになった。オーケン生涯自己ベスト曲10に必ずランク・インされる自信作
 8「
小さな恋のメロディ
 後期筋少はドンドンと
ヘビメタ・ポップバンドと化していった。この曲は典型。僕がバンドから一歩引き、ギター・橘高文彦にアプローチをまかせた結果。もしあのまま筋少が続いていたら、「アイサレンダー」とかの頃のレインボーか、内田のプログレ趣味が加味されて、エイジアみたいなバンドになっていたのかも? いや、単にアースシェイカーになってたかもなぁ(死んだ子の歳を数えるようなヘビメタ独り言)。
 9「
タチムカウ
 『「タチムカウ」みたいに、弱っちいやつが強い相手にむかってがんばる曲を沢山書いて下さい』と、
ニート&引きこもりから多数手紙をもらって、「人に頼まずお前が自分でそういう歌でも作りゃ社会に出られるってもんだろーがよ!」とプンプン怒った記憶があります。そんなこと言っちゃいけませんね。でも、そうだと思うんすけどね。
 10「
221B戦記
 
路線の見えなくなった大槻がトチ狂い、アニメファンとのリンクを目論見、水木一郎さんや、宮村優子さんをゲストに招いて録音した怪作。だけどいいように考えれば、なんかへんなこと始めた末期のバンドって、他に類を見ない不思議な曲を作り出して面白いっちゃ〜面白い。ハードロックに声優のナレーションでタイトル「221B」はシャーロック・ホームズの住所。迷いが不条理の面白味を生んだ……でももうちょっと主題をまとめるべきだ
 11「
トキハナツ
 マジックマッシュルームを原因とするノイローゼで強烈なうつ状態にあった時の歌詞。当時所属していた事務所の社長は
困った人間で、僕はもう二度と顔も見たくないと思っているのだけれど、彼もうつ持ちで、「大槻、この詩はすごく、わかる」と共感された。だからって大嫌いに変わりはないけど
 12「
サンフランシスコ
 前メンバーでの88年ナンバーを、90年代後半に当時のメンバーでセルフカバーしたもの。この曲、当初は平歌が
「山谷ブルース」にそっくりだったのを、現在俳優のみのすけ氏が、ギター片手に今の哀愁メロディーへ変えたように記憶している。いや違うかな〜……思いっ切り曖昧なあたりがセルフライナーのリアリズムってやつですよね(キッパリ
 13「
カーネーション・リーンカーネーション
 特撮でもカバーしている後期の名曲。ゲーム「
ブラッティー・ロア」の二作目かなんかで使用されているらしい。「ブラッティー・ロア」チャンピオン大会にゲストで行ったら、専門学校の狭い教室オタク&ガキ数人に「お呼びじゃねぇよ」という目でチロ見されて怖かった。
 14「
日本印度化計画」(ライブ)
 赤坂BLITZの音源ということはライブビデオから落としたものか? ビデオ収録に来たカメラマンが僕の
実の兄で、「兄貴撮ってるか!?」とステージ上で問えば兄のカメラがコクンとうなづいた。
 15「
これでいいのだ」(ライブ)
 デビュー以来あまりに何度も演奏したこのナンバー。最期の方はデデデ〜ン!と前奏が鳴る度「ヒ〜、
またアレなの〜(泣)」いささか苦行ぎみになっておりました。
 ユニバーサル・ビクター、マーキュリー時代の筋肉少女帯はバンド史の後期にあたり、マンネリから抜け出そうとする姿勢が時に奇抜なアイデアを生み、
メンバー間の一部不仲がいい味付けとなって、前期、中期とは異なる、筋肉少女帯ならではの異常な音世界を構築していた。前期、中期で語られることの多い筋少であるが、後期のヘンさも十二分に聞きごたえのある仕上がりになっていると個人的に思う。技術的な成熟も凄まじく、超絶テク吹き荒れる演奏力は目を見張るものがある。大槻ケンヂの歌以外。(ま、オレの声も若くてこれはこれでいいね。アハハ。)
 タイトル、曲順、そして一報を入れてくれなかったことをのぞけば、後期筋肉少女帯を知るアイテムとして大槻ケンヂも
「なるほどね」の一枚と言えよう。
 とは言え、買いに行くの恥ずかしくてまだ
現物見ていないわけで、ジャケットワークその他ビジュアル面の出来はまったく保障できない。間違えてオレがVシネで忍者を演じた写真が表一に使われていたりしたらどうしよう。手違いで人間椅子のメンバーが並んだジャケだったら和嶋君に申し訳ないじゃないか。早く確認したいものだ。サッサと送って来なさい


忍者を演じたVシネ「ドス竜」の激レア海外盤DVD。


愛のブー劇場 「ブー、うぬぼれるの巻」

  ブー
「え?ボクがかわいいかって?」

  ブー
「自分じゃわからないよ。
でも、ま、そう言う人も中にはいるね。」

  ブー
「少なくはないんじゃないかな。」

  ブー
「むしろ多いかな。
アハハハ。」

ブー
「パパ!
なんでそういうこと
言うかなー!」
パパ
「なんだブー、
ボラギノールのCMかい?」

この後大ゲンカ、のんきな親子です♥
次回、
「ひきこもりのネット野郎のみんな、春が来るよ!!」の巻。
お楽しみブー。

ブー
「いいことしかないよ♥」